会社設立についての知識

税金節税について

個人事業と法人事業の税金の違いについて
住民税とは

住民税とは市町村民税(23区では特別区民税)と道府県民税(東京都では都民税)を合わせたものをいいます。
また、住民税には個人と法人の住民税があります。個人の方は個人住民税を、法人(会社)は法人住民税を地方税として納税します。
法人事業が納付する法人住民税は法人税割と均等割があります。

法人税割とは法人税額(国税)を基準にして計算されます。 均等割とは資本金や従業者数などに応じて定められています。
ここでは、均等割りに注目して解説していきます。都道府県民税の均等割額は、資本金等の金額に応じて金額が決まっています。市区町村民税は、資本金等の金額と従業員に応じて金額が決まっています。

資本金等の額 市町村内の従業員数 市町村税 道府県民税 東京都特別区の都民税
50億円以上
  • 50人超
  • 50人以下
  • 3,000,000円
  • 410,000円
800,000円
  • 3,800,000円
  • 1,210,000円
50億円以下〜10億円超
  • 50人超
  • 50人以下
  • 1,750,000円
  • 410,000円
540,000円
  • 2,290,000円
  • 950,000円
10億円以下〜1億円超
  • 50人超
  • 50人以下
  • 400,000円
  • 160,000円
130,000円
  • 530,000円
  • 290,000円
1億円以下〜1,000万円超
  • 50人超
  • 50人以下
  • 150,000円
  • 130,000円
50,000円
  • 200,000円
  • 180,000円
1,000万円以下
  • 50人超
  • 50人以下
  • 120,000円
  • 50,000円
20,000円
  • 140,000円
  • 70,000円

※都道府県民税は、上記の表で間違いありませんが、市町村民税については、 標準税額のみを記載していますので、 一度市区町村に確認してみてください。
なお、東京都特別区の都民税とは、特別区のみに主たる事務所・寮等を有している場合で、 道府県分に市町村分を加算した金額となっています。

法人税と所得税とは

個人事業の税金は所得税です。その税率は、所得が上がるにつれて段階的に上昇していきます。
5% の最低税率から40%の最高税率まで6段階に設定されています。
所得が増えれば増えるほど税率が高くなる『超過累進課税』を採用しています。

▲個人事業の課税所得に対する税率

年間所得金額 所得税率
195万円以下 5%
195万円超330万円以下 10%
330万円超695万円以下 20%
695万円超900万円以下 23%
900万円超1,800万円以下 33%
1,800万円超 40%

法人事業の税金は法人税です。その税率は、一律30%です。また、中小企業の場合は所得800万円までは22% です。売上が多ければ多いほど、利益が多くなる『原則一定税率』を採用しています。

▲法人事業の課税所得に対する税率(※資本金1億円以下の場合。)

年間所得金額 法人税率
800万円以下 22%
800万円超の部分 30%

上記の表から、所得が900万円を超えると、法人にした方が節税効果を得られるように思えます。
しかし、個人と法人の違いによって年間の利益が500万円程度でも、法人事業にはメリットがあります。 それは下の節税効果が大きいからです!!

法人の節税効果について
1.事業所得を給与所得にすることでの節税効果

個人事業の場合は、事業主への給料は必要経費にできません。
従って、<売上-必要経費=事業所得>となり、事業所得へ課税されます。

これが、法人になると、先ず事業主への給料が経費にできます。 そして、給与所得になると「給与所得控除」があり、 年収となる金額の一定割合が自動的に控除されます。 この控除分が、節税となります。

しかし、平成18年度の税制改正で、実質的にオーナー社長が一人で経営しているような小規模な会社について、 役員報酬の一部損金不算入制度が導入されました。

役員報酬の一部損金不算入制度とは?

この制度の対象は、以下の2つの要件に該当する法人が適用されます。
【1】同族会社のうちで業務を主宰する役員及びその同族関係者等が、発行済株式総数の90%以上の株式を有していること。
【2】同族会社のうちで業務を主宰する役員及びその同族関係者等が、業務に従事する役員の過半数を占める場合等に該当すること。
ただし、対象であっても、次の3または4に該当する法人は、この規定が適用されません。
【3】同族会社の所得等の金額(所得の金額と損金の額に算入された給与の額の合計額)の直前3年以内に開始する事業年度における平均額が年800万以下である場合。
また平成19年度税制改正で平均額が以下のように変更になりました。
平成18年4月1日以後開始の事業年度→800万円
平成19年4月1日以後開始の事業年度→1,600万円
【4】上記3の3年間の平均額が年800万円超 3,000万円以下であり、かつ、その平均額に占める給与の額の割合が50%以下である場合。
また平成19年度税制改正で平均額が以下のように変更になりました。
平成18年4月1日以後開始の事業年度→800万円
平成19年4月1日以後開始の事業年度→1,600万円
よってあまり売上規模が大きくない法人には影響が少ないですが、給与所得を多く支給している法人は影響があります。

2.事業主の福利厚生費が経費にできる

法人契約の生命保険を利用して、事業主の退職金を準備できます。
個人事業では、事業主の福利厚生費は、必要経費にできません。

これが法人だと、経営者を被保険者として法人契約の生命保険へ支出する金額を経費にすることができます。
さらに、個人で加入する生命保険は、所得控除の対象となりますから、 節税しながら効果的にリスクへ備えることが可能になります。

3.法人は欠損金の繰越が7年間にわたり適用される

事業の中で生じた欠損金の繰越期間は、 個人事業(青色申告時)は3年ですが、 法人事業では7年とされています。
つまり、ある年度において欠損金が発生した場合で その年度内に控除できなかった欠損金においても、7年間にわたり利益の圧縮ができるというわけです

4.法人は減価償却を任意で行うことができる

個人事業における減価償却は、強制償却と決められていますが、 法人事業においての減価償却は任意償却が認められています。
例えば、法人事業において決算が赤字の時には減価償却をせず、 黒字のときに減価償却をすることで利益の圧縮をすることが可能です。

ただし、法人税上は限度額が決められていて、 それを超えなければ問題ありませんが 会社法上は適正な償却をすることになっています。
減価償却を「0」とした場合、会社法上は違法 となりますので注意が必要です。

5.消費税について

消費税は、個人事業でも法人でも取り扱いに差はありません。 しかし、資本金の金額を抑えることにより、設立事業年度と翌事業年度の2期分の納税義務を免除してもらえる特典があります。

個人事業の場合は今期の売上が1,000万円を超えたら、その2年後から消費税の納税義務が発生します(一部例外があります。)
したがって、その納税が発生する年度に法人成りを行えば、法人設立後2年間の消費税が免除されます。 一般的なやり方はこ、開業後2年が経過する個人事業主は、個人事業を法人成りして廃業します。
その後資本金1,000万円未満の会社を設立することで、さらに約2年間、消費税の納税義務を回避できるというやり方です。
個人事業から会社のトータル約4年間の間、消費税を払わずに済むので節税効果は抜群です。

ただし、注意点があります。
その法人設立の場合は、資本金を1,000万円未満の法人にすることが必要です。 また、法人化するときに決算期を決めますが、最初の事業年度を出来るだけ1年に近くなるようにすることも重要です。
免税の期間は、2年間ではありません。設立後の2事業年度です。
なので、2年間の免税の恩恵を最大限利用するため決算期も計算して決めることが必要です。

6.交際費について

法人成りすることのデメリットの部分でもある交際費の経費計上について解説します。
個人事業の場合、交際費を経費に計上できる上限が定められていません。よっていくらでも経費計上できるのです。
取引先との飲食代などは、 経費として認められます。 飲食代に限らず、ゴルフのプレーフィーなども同様です。 従業員さんとの慰労会など、食事会や飲み会の費用も経費にできます。 個人事業者が、その業務に関連して支払った交際費は、全て経費になります。
仕事関係の接待費用は、全て経費になるわけです。ただし、事業に関係しない交際費は必要経費となりませんのでご注意ください。

法人事業の場合はそうはいきません。年400万円を超える部分は経費とは認められません。また年400万円以下の部分も、 そのうち10%は経費とは認められません。
個人事業から見るとかなり厳しい規制を受けることになります。

なお、これは、資本金が1億円以下の法人に限った取扱いです。資本金が1億円超の法人については、交際費は全く損金になりませんのでご注意ください。

copyright(C)2011 Admini Solution .All rights reserved.